今日の至言
1. The manager administers; the leader innovates.
2. The manager is a copy; the leader is an original.
3. The manager maintains; the leader develops.
4. The manager focuses on systems and structure; the leader focuses on people.
5. The manager relies on control; the leader inspires trust.
6. The manager has a short-range view; the leader has a long-range perspective.
7. The managers asks how and when; the leader asks what and why.
8. Managers have their eyes on the bottom line; leaders have their eyes on the horizon.
9. The manager imitates; the leader originates.
10. The manager accepts the status quo; the leader challenges it.
11. The manager is the classic good soldier; the leader is his own person.
12. The manager does things right; the leader does the right thing.1. マネジャーは管理し、リーダーは革新する。
2. マネジャーはコピーであり、リーダーはオリジナルである。
3. マネジャーは維持し、リーダーは発展させる。
4. マネジャーはシステムと構造に焦点をあわせ、リーダーは人間に焦点をあわせる。
5. マネジャーは管理に頼り、リーダーは信頼を呼び起こす。
6. マネジャーは目先のことしか考えず、リーダーは長期的な視野を持つ。
7. マネジャーは「いつ、どのように」に注目し、リーダーは「何を、なぜ?」に注目する。
8. マネジャーは数字を追いかけ、リーダーは未来を見すえる。
9. マネジャーは模倣し、リーダーは創造する。
10. マネジャーは現状を受け入れ、リーダーは現状に挑戦する。
11. マネジャーは優秀な軍人であり、リーダーはその人自身である。
12. マネジャーはものごとを正しく処理し、リーダーは正しいことをする。
Warren Bennis
Born in 1925
American scholar, organizational consultant and author
ウォレン・ベニス『リーダーになる』伊東奈美子訳より。番号は筆者
今回の「至言」はリーダーシップ論の権威として著名なウォレン・ベニスの代表作『リーダーになる』からの引用です。「リーダー」のあるべき姿をその対極としての「マネジャー」と比較し、端的に表現したのがこれらの言葉です。
本連載の第2回で、「イノベーター」と、その対極としての「イミテーター」の違いについて触れましたが、ベニスのリーダーシップ論で語られているリーダーとマネジャーの対比は、ほぼそのままイノベーターとイミテーターの対比と同じと言ってもよいでしょう。
具体的には、
●マネジャーは管理し、リーダーは革新する。
●マネジャーはコピーであり、リーダーはオリジナルである。
●マネジャーは模倣し、リーダーは創造する。
の3項目は「文字通り」の定義そのものです。
まず1項目は “The leader innovates” とあり、リーダーシップに関するベニスの強力なメッセージから始まります。そして2項目目、3項目目では、その対比としてマネジャーは「コピー」であり「模倣」すると言い切っています。つまりマネジャーとは「イミテーター」であるというわけです。
さらに以下の項目についても「イノベーター」と「イミテーター」の典型的な行動パターンの違いを表しています。
●マネジャーは維持し、リーダーは発展させる。
●マネジャーは目先のことしか考えず、リーダーは長期的な視野を持つ。
●マネジャーは「いつ、どのように」に注目し、リーダーは「何を、なぜ?」に注目する。
●マネジャーは数字を追いかけ、リーダーは未来を見すえる。
●マネジャーは現状を受け入れ、リーダーは現状に挑戦する。
もちろん、リーダーシップにもさまざまなスタイルがあり、環境によっても求められるリーダー像は変わってきます。「イノベーターとしてのリーダー」がとくに求められるのは、組織やチームの方向性が定まっていないときや環境変化が激しいとき、あるいは不確実性が高く「正解がない」状況下といえます。順調に成長しているような企業では妙なリスクを取るよりも決められたことを着実にこなしていくタイプの人のほうが業績を上げることが多いからです。
「管理」というのは植木の剪定(せんてい)のようなものです。基本的には伸びすぎた枝を「刈り込んで」形を整えることはあっても、その行為だけで新しい枝や幹を成長させることはありません。それなりに大きくなって、すでにまあまあの体裁が整った植木にはこちらが重要な場面もあるでしょうが、「『安定的に事業を行っている大企業』では『マネジャー型のリーダー』のほうがいいのではないか?」と経営者に聞けば、おそらくほとんどが「それでもやはり、リーダー型が求められる」と答えるのではないでしょうか。
ところが実態はといえば、その経営者の答えに反するように、組織が大きくなればなるほど「マネジャー型」の管理職や役員が増えていきます。ベニスがあえてこれらの至言で警鐘を鳴らし、ベニスの著作が「名著」とされることがそれを物語っています。
歴史があり、大きく官僚的な組織で運営されている大企業であればあるほど、その傾向が強まっていきます。経営者のかけ声は「イノベーションだ!」であっても、現場はどこ吹く風。結局は、「失敗しないこと」が処世術となっている現実は、みなさんもよく目にするところでしょう。
いざ変革期になったときに「ゆでがえる*」とならぬよう、ベニスのこの言葉を肝に銘じておきたいものです。
*ゆでがえる…… 環境の変化に対応することの難しさを指摘するために使われる比喩。沸騰した湯が入った鍋にかえるを入れればすぐに逃げてしまうが、水の温度が上がる前からかえるを入れておけば逃げない。そして、少しずつ上昇する温度にも気づかず、やがては「ゆでがえる」ができあがる、ということ。
2012年9月20日更新
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