前回は、まばたきという客観的で定量的な指標に注目した観察によって、現象がより細やかに描き出されると論じた。しかし、このような現象がどのような仕組みで実現されているのかについては、実はまだ何も述べていない。 今回は、そのメ […]
著者: 野村亮太
第5回 観客のまばたきが同期する現象
前回は、落語を聞いている多くの観客の状況をつぶさに観察することを通して、客観的で定量的な観客の「まばたき反応」という重要なものさしを見出したことを述べた。 今回は、いまだ気づきに過ぎないこの現象の素描を、どのような理屈で […]
第4回 噺の世界に引き込まれるメカニズム
前回は、適切な制約はあやふやな環境での学びを可能にするが、一方で芸を磨く過程では制約を緩めて探索することも必要になると論じてきた。 そしてこれまでの3回にわたる連載で、文字の世界に落とし込みにくい活き活きとした落語像を思 […]
第3回 噺家の修行、その熟達化の原理
前回は、創造的な問題解決という視点に立ち、ダイナミックな行為としての噺(はなし)を理解してきた。噺は即興的な表現の創出だという新鮮な見方である。 しかし、そんなあやふやな状況で噺家はどうして上手くなることができるのか。 […]
第2回 落語の面白さは「創造的問題解決」にあり!
前回は、落語を聴いて噺(はなし)の世界を楽しむためには、曖昧(あいまい)なものを許容するやわらかな知性と、人物の振る舞いや心情に共感する力が不可欠だと論じた。 今回は、落語のもう一方の主役である噺家(はなしか)に目を向け […]
第1回 落語を聴くときに働く知性とは?
ただ楽しめばいい落語だが、落語をよく聴くようになると、人によっては落語とは何だとか、噺[はなし]とはこういうものだとか、批評家のように論じたくなる方がいると聞く。ところが、改めて考えてみると、うまく説明できないこともまま […]