「自己矛盾」の構造

第5回 全然気にしない

「重要だが存在感がない」ことの代名詞で用いられる「空気」ですが、「私、空気のことなんか全然気にしていませんから」という発言は聞きません。また、「私、100年後の今日の天気とか気にしていません」などと、本当に「どうでもいい」ことを取り上げて「気にしていません」とあえて言う人はいないでしょう(それが「本当に気にしていない」ことを意味するからです)。

第4回 あの人ケチだよね

他人に対して「ケチである」とか「ケチでない」とかコメントしている時点で、「他人の金銭感覚に敏感である」ことがわかります。そもそも(ケチの対極と言える)「太っ腹の人」は、金銭感覚をはじめとして、他人の言動に対していちいちとやかく言わないことが特徴として挙げられるでしょう。

第3回 自分の頭で考えろ

知識を教育するには、多分に外から「教える」というスタンスが重要で、(やる気があろうがなかろうが)強制的に同じ時間と場所に生徒を拘束して「詰め込む」ことで、一定の成果が得られます。これに対して「思考」は純粋に内発的な行為なので、これを「知識」と同じアプローチで教育することは非常に困難です。

第2回 抽象的でわからない

「具体的に言ってくれないと、わかりませんよ」という言い方、これも強烈な自己矛盾です。「具体的」という言葉自体が相当抽象的だからです。その証拠に、抽象概念を扱うことができない子供が「具体的」という言葉を使うことはありません。

第1回 行動がすべて

「行動がすべてだ!」日常生活でもネットの世界でも本当によく見聞きする言い方です。しかし、よくよく考えてみると、この言葉自体が「行動を伴っていない言葉」の最たるものであることがわかります。言っている人もその大きな矛盾に気づいていないことがほとんどです。この言葉の意味は、「そんな〈御託を並べている〉暇があったら、その間にも行動せよ」ということだからです。