前回の記事でミャンマー語を習い始めたと書いたが、実は現在勉強は頓挫(とんざ)している。2012年9月に受講を開始したものの、11月から1年間強、司法修習のため大阪に滞在することとなったので学習を中断したのが最初の頓挫である。
修習を終え東京で就職をしたが、慣れぬ弁護士業で四苦八苦したため、外国語の学習にまで精力を振り向ける余裕がなくなった。弁護士業をスタートして1年半ほど経過した2012年夏、ようやく業務にも慣れてきたので、チーハン先生のもとでミャンマー語学習を再開した。しかし、ほどなくして、両親の看護、介護問題が浮上した。両親が同時期に体調を崩し、子が私1人であるため、病院やら施設やらを駆けずりまわらなければならなくなったのである。そこで、またもやミャンマー語の勉強を中断することとなった。これが2度目の頓挫である。
実家で介護をしていた母に対し、写真を見せながらチーハン先生のことを話すと、眼を細め、「その人は外国に住んで大変なのに、立派に成功しているね」と言った。チーハン先生にも母のことを話すと、ぜひ家に見舞いに行きたいと申し出てくださった。母はこれに対して「畏れ多い」と言っていたが、私は母にチーハン先生を引き合わせたかった。けれども結局それはかなわなかった。チーハン先生のお申し出があった直後あたりから母の体調は悪化していき、とうとう今年2月に他界したからである。
父親の体調は現在小康状態にあり、介護に関しても一段落ついている。そろそろミャンマー語を始めなければならない。インターネットでミャンマー語を勉強していると宣言したからには、実行しないわけにはいかないだろう。できない理由を挙げるのはやめることにしよう。
さて、知り合いのミャンマー人に対して、ミャンマー語を勉強している最中だと話すと、怪訝(けげん)な顔をされることが多い。これらミャンマー人は異口同音に、「なぜこんな小さな国の言葉を勉強するのか」と訊いてくる。「私が外国語を習うのであれば、英語とか中国語とか、もっとたくさんの人が使う言語を習うよ」という者までいる。そういえば、チーハン先生に初めて会った際にも、ビルマのような小さな国の言葉を勉強することに感謝します、という趣旨の言葉をいただいた。
しかし、ミャンマーは決して小さな国ではない。国土面積は日本の1.8倍の広さだし、人口は6000万人を数えるほどの大国である。人口は世界の国々の中で、20位台に位置する。NHKの語学講座の対象となっている外国語をみても、ハングルの南北朝鮮は人口約7000万人、イタリアの人口は約6000万人と、ミャンマーの人口と同規模の使用者人口を数える言語が顔を見せる。
なぜミャンマー人は自国を小国と考えるのだろうか。
2013年11月25日更新 (次回更新予定: 2013年12月25日)
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